未来
今夜は仕事をする気になれない日。
あれほど嫌いだったオトナ。
自分はオトナになってしまったのだろうか。
昔はこうだった、今はこうだ。
そうさ、自分もご多分に漏れず、そんな実にもならない話をしている。
悔しい。
映画『ブレードランナー』のい中でルドガーハウアー扮するレプリカントがこう言う。
「俺はお前たち人間には信じられない光景を見てきた。オリオン座の近くで炎を上げる戦闘艦。暗黒に沈むタンホイザー・ゲートのそばで瞬くCビーム。そういった記憶も時と共に消えるのだ。雨の中の涙のようにな。俺も死ぬ時が来た」
ところで、見てきたものの量と言うのは年齢に関係ない。
レプリカントは数年の命しか与えられておらず、この数年の間に人間の想像を絶する詩人の世界を見てきたのだ。
勿論、映画だけど。
実は昔というものがそれほど良かったかと言うとそうでもない。
ただ今とは違っているだけだ。
未来はもっと違うものになるだろう。
ただ「そういうことがあった」というだけが事実であり、過去と今と未来を繋いでいる。
そんな事実に老いも若きも関係ない。
さて、自分はどうなのだろうか。
まだまだ見つめていたい。未来を。
(by Tomura)
○2009年イラスト